平成29年11月18日、安曇野市で行われました安曇野市戦没者追悼式及び「平和の集い」式典にて、安曇野市のある中学校の先生方に受講生としてご参加頂き、ソープカービングの講習会を実施いたしました。
おかげさまで、先生の皆様も真剣に取り組んで下さって、ご満足頂けたとの言葉を頂き大変嬉しく存じます。
この場をお借りして校長先生とその中学校の先生方に御礼申し上げます。
その時の講習内容について、校長先生はご自身が在籍する中学校の生徒に「大変なことを選ぶ」と題してお話されました。
私にとって大変名誉で感激する内容でしたので、ここに一部抜粋してご紹介させて頂きます。
なお、この内容の掲載許可を頂きました校長先生には厚く御礼申し上げます。
どちらを選ぶ時の判断基準として「どっちが大切なのか」を考えて、色々な判断条件がありますが、実は私には選ぶ時の条件にしてることのひとつに「どっちが大変かを考えて、大変な方を選ぶ」というのがあるんです。
そのことについて例を出してお話しします。
11月18日の安曇野市戦没者追悼式及び「平和の集い」の時に展示された我が中学校の先生方が手作りで石鹸に彫刻(ソープカービング)した「秋桜」で『平和』という文字を書いたオブジェを展示させてもらいました。
「平和の集い」に生徒の作品を展示して欲しいと市役所の方からお願いを受けました。
皆さんが描いていた絵を少しお借りして展示すればいいじゃないか、という考え方もありますね。
しかし、我が中学校の先生方はそうはしませんでした。
生徒たちの心のこもった花の絵も飾る。そして、日本の上空をミサイルが飛んでくる時代に先生達の手で平和を願う作品が作れないかと考え、この石鹸に彫刻(ソープカービング)をやることにしました。
先生方は日々とても忙しいです。
学校のことや皆さん生徒のことの他にまた新しい何かをやろうとすることは決して楽ではありません。
いわば、大変なことなのです。
ですが、そんな忙しい時間を割いて先生方は自分の手で石鹸の彫刻(ソープカービング)に取り組みました。そして、先生方としては安曇野市初めての平和を願う展示物が出来たのです。
展示会はとても好評でした。
会場を訪れた皆さんが一度は足を止めて見てくれていたと市役所の方は言っておられました。
このことは、やらなくても誰からも文句を言われるようなことはありません。もっと言えば、普段の生活の中で新しいことをやろうとすることは大変なことです。
でも、その大変なことを選んでやったからこそ、いい評価を得たと言えるのです。
先生方にこの石鹸の彫刻(ソープカービング)を教えてくださった女性の先生がいます。
この方は、ずっと旦那さんが経営する会社で事務をされながら子育てをして、50歳まで生きてこられました。
しかし、50歳の誕生日を迎えた時「私はこのまま年老いていっていいのか?」という思いが心に沸いて「何かしてみよう」と考え、ソープカービングに取り組み始めたそうです。
日本にいては教えてくれる人もあまりいないことであり、本格的に勉強したいと思って貯金をはたいて1ヵ月間タイに渡ってずっと勉強しました。
今では、インストラクターとして生徒さんが訪れて講習会を開いています。
この間、7年間の出来事でした。
もちろん、作品展を開いたりもしています。
ご本人にお聞きすると「初めは大変なことをやろうかどうしようか迷いました。」とおっしゃってました。
私は、この先生は会社の事務をしていればずっと普通に暮らしていけたと予想します。
でも、もし、このソープカービングをやり始めてタイまで行って、それでも自分が上手くならなかったとしたら、それは大損もいいところです。
しかし、この先生は「今しかない」「きっと自分が楽しく生きがいを持てるだろう」と考えて大変なことを選んだのです。
私は、我が中学校の皆様にも、
今は苦しくて大変でも、未来の自分が、その選んだ道で笑っていられそうな道を進んで欲しいと思います。
2017年11月28日